人事労務に関するご相談・ご質問事例

 

 今まで受けたご相談案件のうち人事労務・社会保険に関することで、多くの企業現場で起こりうるものを

 紹介しています。人事労務問題の解決のヒントになれば幸いです。

【ご相談内容】
 従業員が1週間、無断欠勤しているのですが、辞めさせてもいいのでしょうか。
 
【対応】 
 1週間無断欠勤しているからと言って、すぐに解雇するのは会社にリスクが残ります。
 ご相談のあったこの会社は、勤務態度の良くない正社員がついに無断欠勤をするようになってしまいました。会社としては即刻解雇したいところですが、解雇には厳しい規制があります。
 
 例えば、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、権利の濫用として無効である(労働契約法16条)」とされていること、また、会社が労働者を解雇する場合、少なくとも30日以上前に解雇予告をするか30日分以上の平均賃金である解雇予告手当を支払う必要(労働基準法20条)があります。
 
 無断欠勤はあきらかに労務を提供して対価を得るという基本的な労働契約の違反であり、労働者側の身勝手な行為です。法律そのものではこれについて明確な定めは設けられていませんが、労基法制定後まもなく、行政側は以下のような行政通達を出しています。
 「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合は、所轄労働基準監督署長の認定を受けた上で即時解雇ができる」
 
 行政通達は法律の統一解釈や現場実務の取り合い基準を示したもので、中央省庁等から各労働局や労基署などへ対して行われます。法律そのものではないにせよ、労働監督行政の統一見解として、大きな意味を持ちます。この通達にあるように、まず「2週間」という期間が目安になるのと、「出勤督促」が企業側の努力として求められます。その上で解雇予告除外認定を得て即時解雇が可能になります。
 
 
 
【ご相談内容】
 給料は下げることができないし、下げる場合は10%までと聞きましたが本当ですか?
 
【対応】
 罰則や制裁として給与を下げる場合は、一定の規制がありますが、人事評価制度に基づくものであれば、問題はありません。
 
 ここにいう10%、というのは、労基法91条にある「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」とあるものを根拠としていると思われます。
 難しい言い回しですが、従業員に対してなんらかの金銭的制裁を加えるようなことがもし起こったことを想定して、あらかじめ就業規則で制裁内容を定めるのであれば、1回当たり給与一日分の半額まで、回数が複数に及んだとしても、1か月あたり10%までと定めねばならないということです。
 例えば、大きなクレームを出した社員に、社長が怒って減給20%!などというのは到底認められないということですね。
 
 ところで、給与を下げるのは何も、罰則や制裁を加えるときだけに限りません。人事評価によって、給与改訂をすることはありえます。社員に事前にしっかり説明をして導入されている人事評価制度と賃金制度があれば、社員の仕事を正当に評価できますので、その結果として給与減額を含めて改定することは問題ありません。
 
 人事評価制度や給与制度を明確に定めていない中小企業は、給与改訂の具体的根拠が少ないため、給与改訂の方法について相談を受けることがあります。長年働いている社員が必ずしも会社に高い貢献をしているとは限りません。そのような場合、周りの社員からもクレームが出やすくなります。社員の給与を適正にするためにも、なんらかの評価制度と給与制度の導入をお勧めしています。